制度・報酬改定
2026年秋版|障害福祉の報酬改定と2027年度改定の最新動向
2026年度障害福祉報酬改定と、2027年度改定に向け現在検討されている内容を、障害福祉の実務目線で整理します。
障害福祉分野では、2026年度(令和8年度)の報酬改定が行われた一方で、すでに2027年度(令和9年度)障害福祉サービス等報酬改定に向けた検討が進んでいます。
厚生労働省の「障害福祉報酬改定検討チーム」では、2026年6月から関係団体へのヒアリングが行われ、8月27日には令和9年度改定に向けた主な論点案が提示されました。
その後、
- 9月24日:訪問系サービス
- 9月28日:就労系サービス
- 10月5日:障害児支援
と、サービスごとの具体的な検討も始まっています。
この記事では、2026年度にすでに決まった内容と、2027年度改定に向けて現在検討されている内容を分けながら、障害福祉事業所への影響を整理します。
この記事で分かること
- 2026年度の障害福祉サービス等報酬改定で何が変わったのか
- 2027年度改定に向けて、現在何が検討されているのか
- 共同生活援助、生活介護、施設入所支援、就労支援、障害児支援などで注目したいこと
- 管理者・サービス管理責任者・請求担当者が今から確認しておきたいこと
1.2026年度の障害福祉サービス等報酬改定
2026年度(令和8年度)の障害福祉サービス等報酬改定については、厚生労働省から改定内容、告示、通知、Q&Aなどが公表されています。
今回の改定では、処遇改善のほか、一部サービスにおける報酬体系や算定方法などの見直しが行われました。
厚生労働省では、
- 改定概要
- 告示
- 通知・事務連絡
- Q&A
- 就労継続支援B型に関する資料
- 就労移行支援体制加算に関する資料
などを公開しています。
特に請求担当者は、改定概要だけでなく、改定後に公表されたQ&Aまで確認することが重要です。
2.2027年度報酬改定に向けた検討が始まっている
2026年8月27日に開催された第62回障害福祉報酬改定検討チームでは、令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)が示されました。
ここから、2027年度改定に向けた議論が本格化しています。
また、それ以前の2026年6月から8月にかけては、障害福祉関係団体へのヒアリングが複数回実施されています。
現場や事業者団体から出された意見を踏まえながら、今後、サービス種別ごとの報酬や基準について具体的な議論が進むことになります。
3.注目したいのは「報酬額」だけではない
報酬改定というと、
「単位数が上がるのか」
「加算が新設されるのか」
「基本報酬がどう変わるのか」
という点に目が向きがちです。
もちろん重要ですが、今回の検討ではそれだけではありません。
今後は、
- 人材確保
- 職員の処遇
- サービスの質
- 事業所運営
- 人員配置
- 記録
- 支援内容
- 指定・指導
- 地域移行
- 生産性向上
なども重要なテーマになっていくと考えられます。
つまり、
「いくら請求できるか」だけではなく、「どのような支援を提供している事業所なのか」
が、これまで以上に重要になってくる可能性があります。
4.共同生活援助(グループホーム)
共同生活援助については、近年、事業所数の増加とともに、運営や支援の質に対する関心が高まっています。
厚生労働省は、すでに「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン」を公表しています。
また、次期報酬改定に向けた検討資料でも、共同生活援助の運営や支援のあり方に関連する資料が示されています。
今後の検討では、
- 個別支援計画
- 本人の意思決定
- 日常生活上の支援
- 支援記録
- 職員体制
- 虐待防止
- 運営管理
- 地域との関わり
- 重度障害者への支援
などを引き続き確認していく必要があります。
日中サービス支援型GHで特に確認したいこと
日中サービス支援型共同生活援助では、住居で過ごす時間が長い利用者への支援や、日中活動との関係など、一般的な共同生活援助とは異なる運用があります。
そのため、「いつ、どこで、どのような支援を行ったのか」を日々の記録から確認できる状態にしておくことが重要です。
特に、
- 事業所内でのサービス提供
- 外部の日中活動利用
- 入院
- 外泊
- 欠席
- 短期入所
- 日中の支援状況
などを適切に把握できているか、改めて確認しておきたいところです。
5.生活介護・施設入所支援
生活介護や施設入所支援では、
- 利用者の高齢化
- 障害の重度化
- 強度行動障害
- 医療的ケア
- 地域生活への移行
- 人材確保
などが引き続き大きな課題です。
施設入所支援については、障害者支援施設が今後どのような役割を担うのかという議論も重要になります。
「地域移行を進める」という方向だけでなく、地域での生活が難しい重度障害者を、どのように支えるのかという視点も欠かせません。
生活介護、施設入所支援、短期入所、共同生活援助などを複数運営している法人では、それぞれを別々に考えるのではなく、法人全体として支援体制を確認しておく必要があります。
6.就労系サービスは具体的な検討へ
2026年9月28日の第64回障害福祉報酬改定検討チームでは、「令和9年度障害福祉報酬改定に向けて(就労系サービス)」が議題となりました。
就労系サービスには、
- 就労選択支援
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
- 就労定着支援
などがあります。
就労支援は近年、制度変更が続いている分野の一つです。
7.就労継続支援B型
2026年度改定では、就労継続支援B型について、基本報酬区分の基準に関する見直しが行われています。
厚生労働省からは、「就労継続支援B型の基本報酬区分の基準の見直しについて」という資料や、算定区分に関する届出書も公表されています。
B型を運営している事業所は、
- 現在どの基本報酬区分を算定しているか
- 届出内容に問題がないか
- 工賃に関する実績
- 利用者への支援
- 一般就労への移行
- 地域との関わり
などを確認しておく必要があります。
今後の報酬改定でも、単純な利用者数だけではなく、どのような支援成果を評価するのかは重要な論点になりそうです。
8.就労選択支援にも注目
就労支援分野では、就労選択支援の今後の運用も大きなポイントです。
本人の希望や適性、能力などを整理したうえで、「どの働き方・どのサービスが本人に合っているのか」を考える役割が、これまで以上に重視されていく可能性があります。
就労移行支援、A型、B型などを運営する法人は、就労選択支援を単独の制度として見るのではなく、利用前のアセスメントから、その後の就労支援までをどのようにつなげるのかという視点が重要です。
9.障害児支援も検討が進行中
2026年10月5日に開催された第65回障害福祉報酬改定検討チームでは、「令和9年度障害福祉報酬改定に向けて(障害児支援)」が議題となりました。
児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児支援についても、2027年度改定に向けた具体的な検討が始まっています。
障害児支援では、
- 支援の質
- 専門職との連携
- 家族支援
- 地域との連携
- 医療的ケア児への支援
- 重症心身障害児への支援
- インクルージョン
- 移行支援
- 人員配置
など幅広いテーマがあります。
今後の検討内容を継続して確認する必要があります。
10.相談支援も重要な位置づけに
障害福祉サービスを考えるうえで、相談支援も欠かせません。
利用者本人の希望を確認しながら、
- 生活
- 就労
- 住まい
- 医療
- 福祉サービス
などをつなぐ役割があります。
サービス提供事業所だけでなく、相談支援との連携が適切に行われているかも、今後ますます重要になります。
特に、本人がどのような生活を希望しているのかを支援の中心に置くという考え方は、共同生活援助、就労支援、生活介護など、サービス種別を問わず重要です。
11.これから注目したいキーワード
2027年度改定に向けて、LIVIZでは特に次のテーマを注視していきます。
サービスの質
単に基準上の人員を配置しているだけでなく、実際にどのような支援が行われているのか。
人材確保・処遇改善
慢性的な人材不足の中で、職員確保と処遇をどう改善するのか。
生産性向上・ICT
記録、情報共有、集計、請求などの業務負担をどのように減らすのか。
地域生活
施設、グループホーム、一人暮らしなどを含め、本人が希望する地域生活をどう支えるのか。
重度化・高齢化
強度行動障害、医療的ケア、高齢化など、支援ニーズの高い方をどう支えていくのか。
支援記録
実際に行った支援を適切に記録し、個別支援計画や請求内容とつなげられているか。
12.事業所はいま何をすればいい?
2027年度改定に向けて、まずは現在の算定や日々の業務を確認しておきましょう。
① 現在算定している報酬・加算を確認する
まずは、2026年度改定後の最新ルールで正しく算定できているかを確認します。
特に厚生労働省のQ&Aは、改定後にも追加されることがあります。
② 記録と請求が一致しているか確認する
日々の記録、実績、勤務体制、個別支援計画、請求内容が一致しているか確認します。
「請求時だけ確認する」のではなく、日々の記録段階から正しく整理しておくことが重要です。
③ 加算の要件を再確認する
加算を算定している場合、「以前確認したから大丈夫」ではなく、現在も要件を満たしているか定期的に確認します。
④ 業務のムダを確認する
例えば、
- 同じ内容を何度も入力している
- 紙からパソコンへ転記している
- 月末に職員が手作業で集計している
- 請求前に複数の記録を突き合わせている
- 情報が複数のファイルに分散している
といった業務がないか確認します。
制度改正への対応だけでなく、現在の業務そのものを見直す機会として考えることも大切です。
13.「決まってから調べる」から「検討段階から知る」へ
報酬改定が正式に決定してから情報収集を始めると、実際の施行までの準備期間が短くなります。
一方、検討会の段階から議論を把握しておけば、
- どの分野が見直されそうなのか
- 自分の事業所に関係があるのか
- 今から確認できることは何か
を考える時間を確保できます。
LIVIZでは今後も、決まったこと、現在検討されていること、現場で確認したいことを分けてお伝えしていきます。
まとめ
2026年度の障害福祉サービス等報酬改定が実施される一方で、2027年度改定に向けた議論はすでに始まっています。
2026年10月7日時点では、
- 8月27日:令和9年度改定の主な論点案
- 9月24日:訪問系サービス
- 9月28日:就労系サービス
- 10月5日:障害児支援
と、サービスごとの検討が進んでいます。
今後は、共同生活援助、生活介護、施設入所支援などについても、具体的な議論を継続して確認していく必要があります。
報酬改定は、「報酬がいくらになるか」だけの話ではありません。
人材確保、サービスの質、記録、業務効率化、地域生活など、事業所運営そのものに関係します。
LIVIZでは今後も、厚生労働省などの一次情報を確認しながら、何が変わったのか、何がまだ検討中なのか、現場では何を確認すればいいのかを、障害福祉の実務目線で分かりやすく整理してお伝えします。
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